07. グリップの力学

 今回は海外の超一流ドラマー達の多くに共通するスティックの持ち方、グリップ力学のお話です。

 最初に「構え」ですが、下の写真を見て下さい。(名古屋から月一回の4時間レッスンに通う松田大学君です)

写真A:両手首の脱力
まず、両手首の力を完全に抜いて写真Aのポーズをとって下さい。
写真B:左腕を90度
レギュラーグリップの際は左腕をそのまま90度回します。
写真C:構えの完成形
ここでスティックを手にするのですが「持つ」のではなく、指先まで完全脱力のまま「指のすき間にスティックを差し込む」のです

 ここまで脱力しては叩けないと思われがちですが、ローピッチタムでもフォルテの音量を出せる奏法があるのです。


 次は「支点」についてです。彼らには定まった支点箇所は一切無く、スティックを振ることで発生する慣性やリバウンドの力を最大限に有効利用する結果、一打ずつの一瞬で支点ゾーン内での支点移動を繰り返す「移動支点スティッキング」を用いています。なぜなら、明確な支点箇所を作ることはリバウンドの力を自身の指の力で妨げるばかりか慣性力学の法則にも反するが故に必ず力む結果となるからです。


最後に「スティックの持ち方の概念」についてです。

1.ホールドグリップ 2.オープングリップ
写真1:ホールドグリップ
一般的には写真1のような「ホールドグリップ」を主体に考えられがちですが
写真2:オープングリップ
ハイテクニックな演奏ほど2の「オープングリップ」の使用頻度が増し、上級者になるほど無意識に身についているものです。

 結果的にオープングリップのマスターの度合が、ルーディメンツ等の上達度を決定づけてもいるのです。超一流ドラマー達の奏法は一般のものとは一線を画し、科学的かつ合理主義に徹した本物のナチュラル奏法なのです。

(1997年1月)