25. 自然体=日常的動作

 フットワークにおいて「足首の動き」は重要なポイントの一つであることはみなさんもよくご存じだと思います。そのため、バスドラムでパワー,スピードのある演奏をするにはスネやふくらはぎの筋肉を鍛えなくてはならないと信じ込んでいるドラマーも数多いのではないでしょうか?

 しかしよく考えてみて下さい。我々人間は生活する上で常に歩いています。その歩くという動作を別の言葉でたとえると「自分の全体重が片方の足首にかかった時にその足首を伸ばす動作」とも表現できます。たとえば体重60キロの人が歩くとき、瞬間的に60キロ以上になる体の重さが片方の「足首」にかかっているのですが、特に重さや疲労を感じてはいないはずです。

 ドラム演奏時におけるペダリングも同じく足首を伸ばす動作であるはずなのですが、わずか体重の何十分の一の重さしかないドラムペダル(フットボードの踏力は通常2~3キロしかありません)を踏むためにトレーニングをしたり、演奏時に疲労や痛みを感じることは考えてみればとても変な話ではないでしょうか?

 大変多くの方のフットワークが「非日常的なフットワーク」、つまり人間として「日常的に使っていない足首の伸ばし方」になっているように思われます。人間の通常歩行は主に足首まわりの「靱帯」という「筋肉とは別の役割を持つ部分」を使って歩いているのです。そのため、全体重がかかった足首を伸ばしても重さや疲労を感じないのです。

 「歩く」「またぐ」などの「日常的で最も自然な足首の動作」をフットーワークに取り入れたものが「自然体奏法であり正しい奏法」なのではないでしょうか?

 ドラミングだけに必要な筋肉(非日常で使うための筋肉)をわざわざ鍛えるよりも普段歩いているときの“日常的な動きの感覚”で演奏できたら大変楽だと思うのですがいかがでしょうか。また、この方法は超一流ドラマーであるバディ・リッチやデイヴ・ウェックル,ヴィニー・カリウタなどに代表されるフットワークやスティックワークでもあるのです。

(第14回:円運動フットワークもご参照下さい)

(1999年9月)