43. ひずみトーン、クリ―ントーン、ゴーストトーンの「タッチ」

(2004/06/13アップ。16日修正改良)

今回のドラミングアドバイスを読み進める前に・・・

 今回は音の質についての内容になりますが、一旦この内容をやめにしようかと思ったほど、ウェブ上で伝えるのは困難な作業でした。
というのも、ミキサーを使ってマルチマイクで録音すると、「何かインチキをしているかもしれない」と疑念を抱く人もいるでしょうから(^-^; K's MUSIC HPの動画の「音」は、「皆さんがバンドの練習時に行っているのと同じ方法」で録っています。
そうして録った「決して良いとは言えない音」をHP上にアップするためには、さらに「音を約1/30にまで圧縮」しなければなりません。そうすると、今回の内容で非常に大事になる繊細な音などが、かなり削ぎ落とされてしまうのです。
ですので、今回の動画の音は雰囲気が伝わる程度なのを、あらかじめお断りしておきます。今回の内容の音をちゃんと伝えるには、「実際に目の前で実演する」か、しっかり録音したものを「CDにして聴いていただく」しか、方法はないのです。
ですが、多くのドラマーさんにとって非常に役に立つ内容なので、今回アップする運びとなりました。ぜひご自分で実践して、音楽表現に役立てて下さいね!

録音にいつも使用しているマイクも
↓こんな程度です!↓

マイク画像



 まずは、K's MUSIC主宰、小野瀬健資による動画をご覧下さい。

動画:JAZZバッキング

よくある感じのジャズの演奏です。

この動画では、多少ダイナミクスをつけて演奏していますが、このようなダイナミクスをつけるには、振り上げの高さでアクセントをつける事が必要と思っていませんか? その思い込みから、日夜アクセント練習に励んでいる人も、多いのではないでしょうか?

しかし、小野瀬は「フィンガーコントロールを使って、ある事をすると、勝手にダイナミクスがついて、アクセントっぽく聴こえちゃうんだよ~!」と言っています。

一体、どういう事でしょうか!?

実は小野瀬は、この演奏の間、振り上げの高さではなく、
手の中で常に「ある事」をしてダイナミクスをつけていたのです。

今回は、音楽表現のための「第一歩」となる「タッチ」についてです。

※今回は、プロや、上級者のドラマーさんには大変有効な情報となっていますが、「経験」や「歴」の浅い初・中級のドラマーさんには理解しにくい内容かもしれません。しかし、ドラマーのみならず、すべての楽器プレイヤーにとって非常にタメになる内容となっていますので、今後の上達のためにも是非読んでみて下さいね!



<はじめに>
 日本で定説となっている「アクセント理論」は、みなさんよくご存知だと思います。 フルストローク、ダウンストロークetc.・・・という風にネーミングされ、振り上げの高さで音に強弱をつけるという練習法です。

 ですがこの練習法には大きな落とし穴があるのを、みなさんは気付いていますか?
 ドラムはアコースティック楽器ですから、ちょっとした変化で音が変わる、とてもデリケートなものです。 それを音の強弱だけで解決してしまうと、自分のドラミングの幅をとても狭い物にしてしまうのです。

 音量以外にもアクセント時の「音の質」、弱く叩く時の「音の質」をコントロールできればできるほど、自分の音楽表現の幅がグーンと広がるのですよ!

 「そんなの当たり前だよ!」と思った人ほど、じっくり読んでみて下さいね!
今回のドラミングアドバイスは、日本のトップドラマーでさえ、わずか数人しか使える人がいない音楽表現の方法です!


「衝撃の新事実!」

誰もが今までアクセントだと信じてきたものは、実はスティックの剛性コントロールだったのです。
高さ=パワー、 スピード=パワーという、一見もっとも合理的と思える理論の裏に隠された
究極の盲点にせまります!


■STEP1 グリップ

 「グリップでタッチが変わるので、サウンドも変わる」と多くのドラマーが言いますが、なぜサウンドが変わるのかをきちんと理解していますか? もしくは理解していたとしても、それを曲中で「常に変える」という発想がありますか?(1拍の中でさえ変える事は可能です。)

 グリップでタッチが変わるのは、スティックと指の接触面積が変わるからなのですよ!

打面ヒットの瞬間に、スティックに触れている「指の接触面積」を多くすると、スティック自体の剛性が上がるため、アタックの立ち上がりが鋭くなって音が締まり、ピッチも高い音になります。 逆に「接触面積」を少なくするほど、スティック剛性が下がるため、音の立ち上がりが鈍くなり、ピッチも低くなります。

 これは1998年5月掲載の、「ひと言レッスン第16回」で説明した内容ですが、これを読んで実際に試して頂けたでしょうか?

 実はジェフ・ポーカロの、ドワンドワン(ドロンドロン?)した遠近感のあるタムのフィルインや、ハイハット、ライドシンバル等での遠近感あふれる表現は、「アクセント理論」で片付けられるものではないのです。 あの独特な遠近感ある表現のほとんどは、スティックの「剛性コントロール」によるものなのですよ!

 またピーター・アースキンの一種あぶない感じの、緊張感あふれるドラミングも、アクセントと言うより、「スティック剛性コントロール」あってのものなのです。 フィリー・ジョー・ジョーンズや、全盛期のトニー・ウィリアムス、シェリー・マンの演奏ニュアンス表現も、日本国内のアクセント理論を使ったものではなく、「スティックの剛性コントロール」による所が大きいのです。

 彼らは単に叩く強さだけではなく、「スティックの剛性」までもコントロールすることで、あの遠近感のある(ウネリのある)ダイナミクスを可能としているのです!

 ですから、彼らのような超一流ドラマー達の、ウネリある表現力豊かなダイナミクスコントロールは、エレドラ等では絶対再現できないのです。

※ちなみに、デイヴ・ウェックルも「スティックが振動することによってドラムが振動する」と、自身の教則ビデオの中で言っています。

■STEP2 剛性別の音色の特徴

低剛性
43_a1.jpg 43_a2.jpg 43_d1.jpg 43_d2.jpg
スティックに青い絵の具を塗って接触面が分かりやすいようにしてあります。
難易度
レベル

10
■アクセント
●スティックと手指の接触面積が、限りなくゼロに近い状態でアクセントをつけるには、手からスティックを「勢い良くはじき投げる(?)」事が必要不可欠。
●その結果、極端に速いスティックスピードが、打面との接触時間を短くするので、「バーン」 「ドーン」とサスティーンの効いた、破裂音的なアクセント音が得られる。
●この低剛性アクセントから、どのタップに移行するにも、「フリーグリップ」ができていないと物理的に不可能。
●スティック自体の振動を妨げないため、スティックのバイブレーション(振動)が、ヒット後もしばらく残っているのも特徴的。
難易度
レベル

■タップ
●打面に当てる瞬間に、スティックと手指の接触面積を、限りなくゼロに近づけるのが理想。
●スピードはあまり必要ないので、「叩く」というより「リバウンドしたボールを拾う」ような感覚。
●この低剛性タップから、高剛性アクセントへ移行する場合は、けしてアクセントのためにスティックを振り上げない。
●これもスティック自体の振動を妨げないため、スティックのバイブレーション(振動)が指に伝わる。

普通剛性
43_b1.jpg 43_b2.jpg 43_e1.jpg 43_e2.jpg
スティックに青い絵の具を塗って接触面が分かりやすいようにしてあります。
難易度
レベル

■アクセント
●しっかりとした支点によるリバウンドなど、国内のドラム教本などに記してある通り。
●音色的には、いかにも“正しい音”という感じで、チップとヘッドの接触時間もごく普通。
●「ドーン」、「ターン」 という、楽器が本来持っている素直なピッチ感と響きを得やすい。
難易度
レベル

■タップ
●これの叩き方も、国内の教本通りでOK。
●音的には、「タカタカ」、「トコトコ」という感じで、ヘッドの音が素直に出る。

高剛性
43_c1.jpg 43_c2.jpg 43_f1.jpg 43_f2.jpg
スティックに青い絵の具を塗って接触面が分かりやすいようにしてあります。
難易度
レベル

■アクセント
●叩くと同時にスティックを握るというより「叩く前にしっかり握って、叩いた瞬間には、もう手がゆるんでいる」のが基本。
●ヘッドを凹ませるつもり(実際には、ヒット時には指がゆるんでいるので凹みませんが…)で、ヘッドの膜振動にゆがみを生じさせる。
●打面とチップの接触時間が、多少長めになるため「ドン」「バン」と衝撃音的に響く。
●極端に超高剛性にすると、ヘッドの膜振動にゆがみが多く生じるため、音がひずむ。
難易度
レベル

■タップ
●これも叩くと同時にスティックを握るのではなく、叩く前にしっかり握っておくのが重要!
●叩くというより、「つつく感じ」に近い。
●握っているのでリバウンドはしないが、非常に弱いタッチなので、手指が痛くなるということはない。
●この高剛性タップから低剛性アクセントに移行するのが一番難しく、「フリーグリップ」ができていないと物理的に不可能。


■STEP3 剛性のコントロールをするための第一歩

 またまたそんなこと言っても、「いちいち一打ごとにグリップを変えて演奏なんてできるかー!?」と、思ってしまった方も多いのではないしょうか?

 よく、人それぞれ手の形や大きさも違うから、「自分にあったグリップを見つけよう!」などと言われているため、「自分のグリップはこれだ。」と、グリップをたった一つの形に、決めてしまっている人も多いかもしれません。

 そういったドラマーにとって、剛性コントロールを行うのは、確かに至難の技になるでしょう。
 (ジム・チェイピン氏も、教則ビデオの中で、「グリップを一つに決めるのはおかしい!」と言い、使用用途に応じた、多種多様なグリップを、たくさん紹介しています。あのビデオでの中でも、「要注目!」と言える部分ではないでしょうか?)

 そこで、どうしても必要なテクニックがあります。 それは、フリーグリップシステムです。

 なぜなら、フリーグリップシステムができないと、スティックの剛性そのものを低くすることができないばかりか、スティック剛性を瞬時に変化させる事も、物理的に不可能になるからです。

 またフリーグリップシステムは、モーラー奏法やフレディグルーバ―・システムができないと、実演奏には使用できません。 ですので、実はそれらの奏法ができないと、剛性コントロールそのものが出来ない
のです。

 日本的奏法でグリップだけを変化させて剛性コントロールを行なおうとしても、ほとんど「音」には反映されません。ですから、日本的奏法のままでも「剛性コントロールが出来る」なんて勘違いはしないようにして下さいね。

 スティック剛性のコントロールも、身体と切り離して考える事は不可能なのです。グリップだけ真似しても実演奏に生かせる日はやってこないので、ぜひとも身体と併せて練習を行って下さいね。

 ドラムを始めたばかりの、「超初心者」は誰もが「高剛性」です。 しかし、練習を繰り返したり、ドラムスクールで習ったりしていくうちにどうしても、一番安易な普通剛性に落ち着いてしまうドラマーばかりが目立ちます。 普通剛性は、とても簡単でマスターもしやすいので、あえて普通剛性での練習は必要ないのではないでしょうか?


■STEP4 実際の組み合わせ、その特徴と代表的なドラマー

 この表はあくまで目安で、実際には音量も剛性も、もっと微妙な範囲で変化します。 音量を「大」「小」だけとか、剛性を「高」「普通」「低」という風に荒っぽく区切ってしまえるほど、単純ではないのですが、読む人にわかりやすいように、あえてこのような表にしました。

イントネーション(アクセント)
高スティック剛性 普通スティック剛性 低スティック剛性













●最強の組み合わせ。 イメージ的には、なぜか初心者なのに超パワーがあって、超テクもあわせ持ったパンクドラマー(?)、もしくはバディ・リッチ
●「ドン!」「カン!」「ズン!」と鳴り響くアクセントのあとに、ピッチ感の強いタップ音が続く

バディ・リッチ(solo中)
ジーン・クルーパ
デニス・チェンバース(solo中)

●現在、日本のドラムスクール界で、最も正しいとか、音楽的だとされているのが、この組み合わせ。  その影響か(?)、日本のドラマーに最も多く見られる

●タップもアクセントも、音が全く乱れない。 いくらアクセントを付けても、ロック、ポップスではマスキングに弱いため、遠近感が出せない。 また、ジャズでは、カチカチし過ぎて、ジャズではなくなる(?)

●何のマスキングもない、スタジオ等での個人練習時には、とても良いサウンドと錯覚しやすい

●最も簡単な解決策は、アクセントをスティックを握り締めて力で叩けば良いが、体力が持たない。 または手の皮が剥けてしまうかも?

ラリー・フィン
ビル・ブラッフォード(最近)

●この組み合わせは物理的に難しいせいか、ハイテクニックなプレイではあまり使用されない
●サウンド的には、「パーン!」、「ドーン!」、「バーン!」と、サスティーンの効いた破裂音的なアクセント音の合間に、ピッチ感の強いタップ音が続く

バディ・リッチ(曲中)
スティーヴ・ガッド
エルビン・ジョーンズ(昔)








●軸輪のある、ハッキリした音と、ドライブ感もあわせ持つ、近代ドラミングのお手本のようなサウンド
●「ドン!」「カン!」「ズン!」というキレの良い音の中に、キレイなタップ音が続く

スティーヴ・スミス
ヴィニー・カリウタ
デイヴ・ウェックル(奏法改革前)

●最近のウェックルに代表されるのが、この組み合わせ。 音はナチュラルで明るく、開放感がある
●アクセント音の「パーン」「ドーン」というサスティーンの中に、キレイなタップ音が続く

デイヴ・ウェックル(現在)
ジョー・モレロ







●最も遠近感あふれる組み合わせ。「ドン!」「カン!」「ズン!」と鳴り響くアクセントの間に、フワフワしたピッチ感の少ない、優しい音が続く
●この組み合わせの場合、フル、アップ、タップ、ダウンの理論は全く適用外! 剛性を強くするために、指の接触面積を多くするだけで、自然にアクセントとなるため、振り幅がアクセントとタップでほとんど変わらない
●タムフィルインの際に、デニス・チェンバースや、ジェフ・ポーカロが、「スティックの高さがほとんど変わらないのに、アクセントがついている」と、不思議に思った事がありませんか?

デニス・チェンバース(曲中)
ハービー・メイソン(現在)
ジェフ・ポーカロ(タムフィルイン時)

●音にインパクトがある組み合わせではないので、メインでは音楽的に少々使いにくいが、アクセント(高)→弱音(普)のドラマーがmpで演奏する時や、パワーを下げてジャズなどのプレイをする時に使われる
●どんなにアクセントを入れても、「タン」「トン」した音になってしまうので、インパクトが得にくい
●メイン使用は、マービン・S・スミスくらいか!?


マービン・S・スミス

●一種独特なスピード感あるプレイになったり、スリリングな、アブナイ感じのグルーヴになる組み合わせ
●この組み合わせの場合も、フル、アップ、タップ、ダウンのストローク理論が、全く適用外になるのも特徴的
●50年代~60年代のジャズドラマーに最も多く見られた
●ジェフ・ポーカロは、ハイハット、ライド系のプレイにこれを用い、フィルになるとアクセント(高)→弱音(低)へと、使い分けが目立っていた

ピーター・アースキン
ジェフ・ポーカロ(H.H ライド)
トニー・ウイリアムス(マイルス時代)
ハービー・メイソン(70年代)
フィリー・ジョー・ジョーンズ


日本的奏法は、表の 茶色の部分 しか使う事ができない奏法なのですよ!


ドラマー別剛性表

 ボクサーが「速くて突き刺さるようなパンチ」と、「重くのしかかってくるようなパンチ」を使い分けて、対戦相手を翻弄するように、超一流ドラマーもスティック剛性コントロールによって、聴き手の耳を翻弄しているのです!


■STEP5 スティックの音と振動

 実際に指の接触面積で剛性をコントロールする事で、どのくらいスティックの音が変わるのかを、次の動画で確認して下さい。

動画:練習台で剛性
譜面

Q.その音って、練習台を叩いてるんだから、練習台が鳴ってるんじゃないの?

A.もちろん練習台を叩いているわけですから、練習台の音も少し出ています。 しかしこの動画では、なるべくスティックの音が目立つように「重量のある集積材の上に、ゴムパッドを貼り付けた練習台」を使っています。 そのため、重量の軽いスティックの方が強く発音しています。
本当は木製の練習台よりも、コンクリートや平らな石の上にゴムパッドを敷いて叩く方が、スティックの鳴りをより目立たせることが出来るんですよ!

 いかがですか? スティック剛性をコントロールする事で、かなり出音が変わるのをご確認いただけたと思います。

 これだけスティックの出音が変わるという事は、一つのスティックで、「何種類ものスティックを使い分けているのと、同じ効果」がある事に気付いて頂けたでしょうか? こんなに出音が変わっているのに、スティックの振り上げの高さがほとんど変わらなかったりするので、違和感を覚えた人も多いかもしれません。

 これを、入校された生徒さんの目の前で行っても、「何かスティックに仕掛けがありませんか?」と言われてしまいます。ですので、生徒さんのスティックで、この実演を行うようにしているんですよ! どのスティックでも同じように、剛性で音色を変えることは可能なのです。(ただし音の質や変化の幅は、スティックの材質や形状によって異なります。)

 この動画の一番最後に行っている方法は、ヴィニー・カリウタがよく行う方法です。 ニール・ソーセン氏(フレディ・グルーバーに30年師事している愛弟子)がK's MUSICに来訪した際、この方法について聞いたところ、「フレディがヴィニーに教えた方法だ!」とニール・ソーセン氏は言っていました。

 ヴィニー・カリウタも「意図的」に、スティック剛性をコントロールしているのですよ!

※正確なリズムを養うという名目で、「練習台を叩く時、メトロノームに合わせて叩いて、その音を消す」という練習を多くのドラマーが行っていますが、音の立ち上がりの問題から、どうしても「やや高めの普通剛性」になってしまう練習法だということに気付いていますか?(低剛性では、叩いてからやや遅れて音が立ち上がるため、ピッタリ合ってもメトロノームの音は消えません。)


◆上の動画で使っている練習台について… (2004/07/05 追加)

最近、『ドラミング無料相談』に「いったい、どういう練習台を使ったら、あんな音が出るのですか?」という質問を多く頂きます。

「集積材を使った…」等と書いたためか、上の動画で使っている練習台が「非常に特別なもの」で、「特別な練習台でないと、あのようなスティックの音の違いは出ない」という誤解を招いてしまったようです。

最近入校された生徒さんから「え!この練習台だったんですか!?」と言われることも多いのですが、スティック剛性による音の違いは、リアルフィール等の、どのような練習台でも出ます。

上の動画で使用している練習台には、タネもシカケもありませんよ!(笑)

この練習台を…動画では、このようにして使ってます!
43_pad1.jpg
練習台のオモテ側
43_pad2.jpg
練習台のウラ側
43_pad3.jpg
(DWの16インチ・フロアタムの上に載せてます)

■STEP6 実際のバンド演奏で使えるの?

 そんなこと言っても、ギター、ベース、キーボード等の音にマスキングされてしまう、実際のバンド演奏では、「そんなビミョーな違いが出るわけない!」と思い込んでいる人も、多いのではないでしょうか?

 しかし、それはまったく逆なのですよ!
マスキングが大きくなればなるほど、他楽器の色々な周波数が混じるので、逆にその差が明確になってくるのです。

 また、ドラム練習室より、大ホールになればなるほど、剛性の差が明確になり、実演奏に生きてきます。 逆に、せまいスタジオで何のマスキングもない「ドラムだけの状態」では、普通剛性にした方が良い音に聴こえてしまうので、注意が必要です。

 現在の日本のドラム教育界で「音楽的」とされているタッチは、せまい練習スタジオ等では上手に聴こえるのに、音が響く大きなホールや、他の楽器音に大きくマスキングされてしまう、実際のライブやレコーディング等の現場になった途端に、「とても線の細いサウンド」になり、まったく通用しなくなってしまいます。 その理由は、彼らの言う、「良い音」、「音楽的な音」の基準が、通常の演奏の状態とは遠くかけ離れている、「シーンと静まりかえった狭いスタジオ」で追求、研究されたものだからではないでしょうか?
 これはドラムに限らず、ギターや鍵盤、管楽器のレッスンプロにおいても、まったく同様の人達が多いと思います。 レッスンプロ同士が集まって、バンドを結成することが多いのも、彼らの音に対する考えや、価値観が近い所以でしょう。

Q.「マスキング」って何?

A.簡単に言えば、1つの音が、他の音によって聴こえにくくなるマスク効果のことをいいます。 実際の演奏では、ドラム単体だけで演奏することはほとんどないので、常にギターや、ベース、キーボードetc,の音にマスキングされた状態になります。 タッチもそうですが、チューニングや楽器選びも、「マスキングされた状態で判断するべき」だと、K's MUSICでは考えております。 静まりかえった狭いスタジオの中で、ドラムだけで「良い音」を追求してしまい、バンド演奏になったとたんに「何の存在感もない音」にならないように、気をつけて下さいね!

 ではここで、「実際にマスキングされた状態」での、シンバルレガートの動画をご覧下さい。

動画:4ビート剛性

 いかがでしょうか? 冒頭で述べた通り、この音は、わずか「数千円のマイクで録音」し、それをさらに「1/30まで圧縮した音」です。

 それを音楽を聴くにはとても適していない「パソコン用スピーカーから聴く」という「かなりの悪条件」にもかかわらず、その違いを分かって頂けたことと思います。(もしどうしても分からなかった場合は、もう少し良質のスピーカーに買い替えるか、パソコンのOUTから、オーディオに繋いでみて下さいね!)

 練習熱心なドラマーほど、耳が「フレーズ」を聴く方にいってしまって、「音色」が本当の意味での興味の対象になりにくい、という傾向があるようですので、特に注意して下さいネ!!
 音色の面白さや、重要性の本当の意味を感じられると、名演と言われる演奏も、もっと掘り下げて聴くことができますよ!

■STEP7 「ひずみ音」てダメな音なの!?

通常のドラム奏法の常識では考えられない、あり得ないことですが、超一流ドラマー達の音楽表現の多くは、その常識の外から生まれています!

 みなさんは、「超初心者が力任せに叩いた」ような、「ひずんで潰れてしまったタッチ」をどう思いますか? このようなタッチは、一般的に「汚い」、「うるさい」、というイメージがつきまとうせいか、音楽的に使ってはいけないと考える人も多いようです。 しかし、K's MUSICは声を大にして言います!

ひずみ音を積極的に使ってこそ、本当の音楽表現だ!と・・・

 アマチュアドラマーの多くや、駆け出しのプロドラマーでさえ、雑誌記事等のメディアの影響からか、「タッチはキレイでなくてはいけない」、という先入観を植え付けられてしまっている様です。ましてや、「ひずんで潰れたタッチ」など、言語道断と思っている人も多いのではないでしょうか?

 しかし超一流ドラマー達の音楽表現には、ひずみ音が欠かせないのを知っていましたか?

 超一流ドラマー達は、「ひずんで潰れたタッチ」を、音楽表現のために使いまくっているのですよ!!

 デニス・チェンバースや、ヴィニー・カリウタの生演奏を聴きに行ってみて下さい。 瞬間的すぎてわかりづらいかも知れませんが、雑誌記事やメディア等で言われている、「キレイなタッチ」という先入観を持たずに、よーく聴けば、ひずんで潰れているタッチの多さに、ビックリしてしまうと思いますよ!

 確かに、ひずんでいる一音だけを取り出して聴いてみると、到底、音楽的に使えるようには思えません。
しかし、普通剛性のようなクリーントーンを、「タンタンタンタン」と聴かせたあとに一発、高剛性や低剛性によるアクセントを使って、「ーン!」とか「!」と叩くと、人間の耳(正確には「脳」ですが)は錯覚を起こして、その「キレイなクリーントーンのまま、突然大きくなった」と感じてしまうのです。

 つまり、タンタンタンタンーンと同じ音でアクセントが入るより、タンタンタンタンーン」とか、タンタンタンタン」など、違うアタック音でアクセントが響いた方が、より効果的に聴き手に訴えかけるのです!

 超初心者は、やみくもに叩くせいで、効果的に使えていないというだけで、その「ひずんで潰れたタッチ」自体が悪いというわけでは、決してないのです。叩き方も、超初心者はやみくもですが、フリーグリップさえ使えれば、どこも痛くなったりはしないのですよ!

 また、なぜドラムの音がひずむのかを、みなさんは知っていましたか?

 当然のことですが、タイコにはヘッドが張ってあります。ヘッドが振動するのは、叩く事によって膜振動が起こるからです。その膜振動を起こすための入力の際(ヒットの際)には、必ずヘッドに「ゆがみ現象」が起こります。
ですので、ヒットの際には、ヘッドはゆがんで波をうってから、通常の膜振動に戻っているのですよ!
 高剛性のアクセントでは、「スティックの硬さによるヘッドの耐入力オーバー」、低剛性のアクセントでは、「スティックの落下スピードによるヘッドの耐入力オーバー」が起こるため、この「ゆがみ」が極端に大きくなるのです。
そうすることで、ドラムから、ひずんだ音を引き出せるのです!

 つまり、高剛性と低剛性のアクセントは、「通常よりも非線形倍音に近い波形」を、ドラムのアタック音により多く与えることで、瞬間的に「マスキング中で際立って遠鳴りする音」を発生させる奏法なのです。

 スネアドラムが、他のタムなどに比べて、バンドの中で音ぬけが良いのも、「ひずんだ音やノイズ成分」がスナッピーによって多く作られているからなのですよ!


◆ひずみで彩りを加えよう!◆

クリーントーンである普通剛性は、確かに「一番正しい音」かもしれません。 ですがよーく考えてみて下さい。 それは声に例えてみれば、「NHKニュースの声」と言えるでしょう。 しかし、その声と発音でもし「俳優がセリフ」を言ったとしたら、果たして人々を感動に誘うことができるでしょうか?
 「NHKのニュースアナウンサー」の声や発音は、日本語として一番正しい事は明らかです。しかし、その声で感動できる人は、ニュースアナウンサーを目指し、その声が一番素晴らしいという価値観を、「教育によって植え付けられた人々」以外にはいない、と言えるのではないでしょうか?

 これと全く同様にして、レッスンプロやその生徒さん達は、「普通剛性のクリーントーンこそが一番正しい音」と、信じて譲れない人も多い事でしょう。なぜなら「クリーントーンだけが正しい音」という価値観を、レッスンで植付け、そして植え付けられてしまっているからです。
 ですが、それを声で例えるなら、前述の「NHKのニュースアナウンサーの声」のようなものです。 しかし人々を感動に誘う、表現力豊かな名俳優や、声優達の声は、その正しい声(クリーントーン)だけでは決して成立しないのです。 クリーントーン以外に「汚く歪んだ声」や「小さくささやく声」を瞬間、瞬間で使い分けて、人々の感動を呼んでいます。

 それは音楽においても全く同じです。 「汚く歪んだ音」や「聞き取りづらい小さい音」の中に、「正しい音」を混ぜるからこそ、よりその音を生かす事ができるのです。 超一流と呼ばれるドラマー達は、日本のドラム教育界では、「絶対やってはいけないとされているタッチ」を瞬間、瞬間に使いまくる事で、表現力豊かな演奏を可能にしているのですよ! 一見、音楽的ではないと思われがちなタッチをいかに使うかが、本当の意味での音楽性なのではないでしょうか? 実際それを行うことで、ジェフ・ポーカロやピーター・アースキン、バディ・リッチなどのドラマーは、人々の賞賛を浴びています。

 もちろんこれは、ドラムに限った話ではありません。 一見クリーントーンに聴こえるリー・リトナーやパット・メセニー、ウェス・モンゴメリー等の、ジャズギタリストの音も、本当はひずんでいるのを知っていましたか? 彼らはアンプの設定や、オーバードライブ等のエフェクターで、ほんのわずかに、ひずませた音作りをしているのですよ! 一見クリーントーンに聴こえますが、ひずみをわずかに加える事で、倍音を豊かにし、ホールを包み込むような、甘いサウンドを奏でているのです。(この事に気付かずに、バンドの中で本当のクリーントーンを出して、音がペケペケしてしまっている、アマチュアのジャズギタリストを時折見かけますが・・・)
 他にもジャズピアノのハービー・ハンコックや、デイブ・ブルーベックの音、管楽器のマイルスやコルトレーン、果てにはクラシックピアノの巨匠のホロビッツまで、よく聴き込めば、普通の奏者よりも、ひずんだ音を要所、要所でより多く使っている事を、確認できるはずですよ!

 最近のプロのレコーディングでは、ボーカルの声に、なんと「ギター用のディストーション」をほんの少しかけて「歌声に迫力を加える」、なんて手法も平気で行われています。 そうとは知らず、皆さんの中には、そんな歌声を聴いて、「なんて迫力ある歌声だ!」なんて感動したりしている人も、多いはずですよ!

 日常においてもそうです。どの国のどんな人でも、「楽しい時」や、「悲しい時」、「喜んだ時」、「怒った時」には、「男も女」も、「大人も子供」も、よく聴けば、「普通より声がひずんでいる」のですよ! また、小さな声での会話で、「大きな声」を表現しようとした時にも、無意識に声をひずませて表現していませんか? そんな会話を、うるさい電車の中でしている人達がいた時、そのひずんだ声だけが、ハッキリ聴こえてきたりするのは、先にも述べた通り、ひずんだ倍音のある音は、「マスキングをかきわける力」が、強いからです。
他にも例を挙げればキリがありません。
「NHKニュースの声」の様な正しい日本語ばかりでは、「感情表現が成立しない」のと同様に、音楽でもキレイな正しい音ばかりでは、「音楽表現が成立しない」のです!



■STEP8 不安定音(ゴーストトーン)も積極的に使おう!

 ひずみのある高剛性、低剛性のアクセントトーンと対照的なのが、低剛性を使った「不安定音(ゴーストトーン)」です。 スネアドラムを叩けば「ササササ」、タムなら「モモモモ」、という感じで、これだけではやはり音楽的に使えませんし、どんなに良い楽器を使っても、その意味がありません。

 しかし、アタック音がほとんど無い「不安定音」は、本当に良くない音なのでしょうか? 実はピーター・アースキン、トニー・ウイリアムス(マイルス時代)、フィリー・ジョー・ジョーンズ等、彼らのドラミングを完全コピーして演奏してみても、まったく違ってしまうのは、「不安定音」のタッチが出来ていないためなのですよ!!

 また不安定音は、バンド演奏のマスキングの中では、叩いた瞬間に音が出るのではなく、マスキング効果によって、叩いてから「やや遅れて音が立ち上がる」のです。 ですので正確に言ってしまえば、「リズムが不正確に聴こえるはず」ですが、実際には聴き手側にリズムが狂って聴こえません。

 その理由は「マスキングによって、音が滑らかに立ちあがるため」、聴き手側が最も気持ち良く聴こえる位置に、リズムを感じとってしまうからです。 結果、よほどリズムが狂ってしまわない限り、「気持ち良いグルーヴ」に聴こえてしまうのです。

 一流の役者の小声の台詞は、日本語にまだ慣れていない外国人はあまり聞き取ることができませんが、日本語に慣れた日本人は、その台詞に感動します。
 ゴーストトーンを使わない演奏は、日本語にまだあまり慣れていない「中国人や韓国人」の日本語発音と同じではないでしょうか?

 不安定音は、音楽の中でまさしく、役者の小声と同じ役割を受け持っているのです。

岩瀬立飛さんに脱帽!

by K's MUSIC 主宰 小野瀬 健資

岩瀬立飛さんのグリップを見た事がありますか? カンのいい方なら、あのグリップに「何か意図的なもの」を感じた人も、多いのではないでしょうか? タッピさんは写真のように、指でワッカを作って、その中にスティックを差し込み、1~2発叩くごとに、手の中でわずかにスティックを持ち直します。 そうする事で、低剛性にし、あの優しいタッチを可能にしているのです。 正直「その手があったかー!」と最初に見た時は驚きました! 日本のドラマーで剛性を操れるドラマーを見たのは、私の知る限り山木さん、ポンタさん以外では、タッピさんが初めてでした。
ただしこのワッカを作る方法は、スティック剛性の持ち替えがかなり難しくなりますので、高剛性を使いたい場合はあまり効果的ではないかもしれません。 ですがタッピさんのように高剛性を使わない、小さめの音量のジャズをやるには、とても効果的な方法です!
これはあとから知った話ですが、タッピさんはピーター・アースキンについていた事があると聞きました。 もしかしたら、彼に「アクセントじゃなくて、スティックの剛性なんだよ!」みたいなヒントをもらって、独自に考えぬいた結果、あの独特なグリップができあがったのではないかと思っています。 ピーター・アースキンは、持ち替える際にロスの少ない「フリーグリップ」を使用するため、もっと普通の(?)グリップに見えますが、物理的にはタッピさんと、ほとんど同じになっているからです。

岩瀬立飛さんは、ピアノやベースのフレーズよりも、「歌い方」に敏感に反応する、素晴らしい音楽性を持ち合わせたドラマーさんです。 そのタッピさんの頭の中のイメージを具現化する、大きな武器の一つが、「岩瀬立飛さんオリジナル」のスティック低剛性だと、私は思っています。

立飛さんのグリップ

こうではない


■STEP9 実際の演奏の具体例

 では実際に、剛性をコントロールしている動画をご覧下さい。 ここで行っている動画は、次の譜面のように剛性をコントロールしています。 リズムを叩いている時のライドシンバルの音も、注意して聴いてみて下さい。

動画:ロックビート

 スティックの太さを変えると、音も違うと感じている人は多いと思います。 剛性コントロールを使えば、たった一種類のスティックでも、何種類ものスティックを持ち替えながら演奏するのと同じ、いや、それ以上の効果が得られるのです!

 つまり、ひずみアクセント用に直径が17ミリのスティック、普通のクリーントーン用に14ミリ、弱音のゴーストトーン用に、10ミリのスティックを、瞬間、瞬間に使い分ける以上のものがありますよ!

ただし、スティック選びの際に、叩きやすさを優先していいという意味ではありません。 前述の通り、どのスティックでも剛性を使う事により、音色をコントロールすることはできますが、やはりスティックごとに、音の質は異なってきます。
  ドラマーは、音よりも叩きやすさでスティックを選ぶ人が、なぜか多いようです。 例えばプロギタリストの場合、「弾きやすさより」も「音」でピックを選ぶことが目立ちます。 ドラマーもそれを見習って、「音」でスティックを選んでみてはいかがでしょうか? きっと世界が広がると思いますよ! シンバルだけでなく、スネアもタムも、スティックで音が変わってしまうんですから!

 ドラムという楽器は普通に叩けば、クリーントーンしか出ないように作られています。 逆に言えば、どんなに、ひずみトーンやゴーストトーンだけを使って演奏しようとしても、クリーントーンが必ずどこかで入ってしまいます。 ですから、クリーントーンの練習は必要ないのではないでしょうか?

<One Point Advice>

この動画の前半部分のように、フル、ダウン、タップ、アップの理論に当てはまる多くの日本人ドラマーの分析、コピーは、みなさん簡単に行えると思います。 ですが、ジェフ・ポーカロやデニス・チェンバース、デイブ・ウェックル等、超一流のドラマー達をコピーしようとした時、フル、ダウン、タップ、アップに当てはまっていない事が多いため、コピーしても全然違ったニュアンスになってしまった経験はありませんか?
彼らは、「タップストロークの連続なのに、様々なアクセント」がついていたり、「ダウンストロークなのに弱音」だったり、「アップストロークの際、アクセントだらけ」だったり、等々、フレディ・グルーバーシステムや、フリーグリップシステム、そしてスティックの「剛性コントロール」を実践できないと、ニュアンスをコピーできないドラマー達なのです。
この動画では、小野瀬が「あえてわかりやすく実演」していますので、それをヒントにして、もう一度チャレンジしてみて下さいね!



■STEP10 まとめ

 それではここで、冒頭で紹介した「小野瀬のジャズ演奏の動画」をもう一度ご覧下さい。

動画:JAZZバッキング

この動画をよく見て、STEP 9の要領で、「剛性コントロール」を自分なりに分析してみて下さい。 わかりやすいように、わざと極端に色々な剛性を織りまぜてありますので、ここまでのことが本当に理解できたなら、分析ぐらいはできると思いますよ!

剛性コントロールと、そのメカニズムを理解しないで、ただグリップで「音が変わるらしい…」と取り組んでみても、実演奏には、ほんの少ししか生かせません。 ぜひ自分で何度も動画を見て研究し、実践してみてくださいね!


 ※最後に、これから「スティック剛性コントロール」にトライしようという方のために、注意点を挙げておきます。
  • 必ず“支点移動グリップ”である「フリーグリップ」をマスターしたあとに、剛性コントロールの練習を行って下さい。なぜなら、日本的奏法に見られる「一箇所に支点を作って握る」という動作を行った時点で、物理的にどうしても「普通剛性」にしかなりえないからです。
    日本的奏法のままで、「剛性のコントロールをやっている」と思い込んでいるドラマーも多いようですが、「クリーントーンである普通剛性にしかなり得ない奏法」の中で、いくら剛性コントロールを行っても、ドラムから「不安定音」や「ひずみ音」は引き出せません。
    超一流ドラマー達が行なっている剛性コントロールは、「不安定音」や「ひずみ音」を音楽表現のために積極利用するというものですから、まったく次元が異なります。

  • スティック剛性コントロールの練習は、スタジオのPA等を使って、必ず「大音量で曲をかけて行なう」ようにして下さい。ドラム単体では、剛性コントロールでサウンドを変えても、マスキング効果がないため、その違いがかなり分かりづらくなります。
    (今回の動画で音楽と一緒に演奏しているのも、剛性コントロールによるサウンドの違いを分かりやすくするためです。)

  • 「低剛性」はヘッドにスティックが当たった瞬間に、どれだけ指の接触面積を減らせるかが、カギとなります。
    ほとんどのドラマーが自分では脱力しているつもりでも、「普通剛性」か、「やや高剛性」になっているのですよ!
    ですので、「想像を絶するくらいの極端な脱力」ができないと、スティックと指の接触面積を減らし、低剛性にすることは不可能です。 この一番難しい「低剛性のスティックコントロール」ができるようになる事で、音色の幅が増え、サウンドをより多彩に操れるようになるのです。
    安易にできたつもりになってしまっては、何よりあなた自身のプレイの幅を狭くするという事に気付いてくださいね!


  • また、この剛性コントロールで最も注意してほしいのは、「スティックがヒットした瞬間の剛性をコントロールする」、という点です。 「ヒットした瞬間」は時間的にとても短いため、どうしても、振り上げや振り下ろし時の剛性をコントロールしてしまいがちです。 振り上げや、振り下ろし時の剛性をいくらコントロールしたところで、出音には反映されず、何の意味もなくなってしまいます。

  • つまり、スティック剛性コントロールは…
    1. 支点移動を可能とするフリーグリップ
    2. 様々な入射角度からヒットできるモーラー奏法
    3. マスキング
    …という3つの条件が揃っていないと、まず「練習自体」ができません。

    これらの条件を満たしていないのに、できたつもりになっている人の出音は、ただの強弱にしかなっていませんので注意して下さいね!

 1980年頃、現在の日本的奏法が発表される以前には、ポンタさん、青山純さん、山木秀夫さんを始め、日本でも大勢、世界に誇れるドラマーを生み出していた時代がありました。

 今、あなた達現代のドラマーがやるべきことは、その偉大な先輩ドラマーを超えることです。

 現代ドラマーに忘れてほしくないのは、音楽表現も奏法も、バディ・リッチやジェフ・ポーカロなど、偉大なる先人達が原点だということです。

 彼らが造りあげた「世界一優れた音楽表現のための奏法」は、現代ドラマー達に世界水準の表現力と、素晴らしい未来を与えてくれます!



またまた緊急報告!! 「ニセK's奏法」にご用心!

 「日本式モーラー奏法」どころか、「ショルダームーブ奏法」、「ボディショット奏法」、「指サスペンショングリップ」、「フリーグリップシステム」等、今までのドラミングアドバイスの奏法と内容を、あたかも前から知っていたかのように、実演できなくても、「全く別の言葉に置き換えて」レッスンを行うレッスンプロが増えてきているそうです。

 K's MUSICは、多くの「日本のドラマーの未来のため」に、ドラミングアドバイスでノウハウを公開しています。 それを「一部の人達のプライドを満たすための道具」とされてしまっては、結局一番損をするのは、全国のアマチュアドラマーさん達です。

 なぜなら、「K's MUSICの奏法」と、「日本的奏法」とでは、物理的原理が、かけ離れすぎているため、見た目だけを真似しても、実演奏に生かせるようにはならないからです。
 それどころか、ヘタをすると身体を壊しかねません。K's MUSICドラム人間科学の奏法には、人体力学を知らずに実践してしまうと、身体を壊しかねないものがたくさんあるのです。

 悲しい事ですが、今回の「スティック剛性コントロール」も、また彼らが「別の言葉に置き換えたレッスン」を行うようになってしまうかもしれません。
 アマチュアドラマーさん達の未来のために公開するはずのドラミングアドバイスが、そういう人達の行動で、逆にアマチュアドラマーさん達にとって、「マイナス!」になってしまうようであれば、ドラミングアドバイスを公開し続ける意味がありません。

 もしあなたが、ニセK's奏法と思われるレッスンをされるようなことがあった場合には、「その先生が本当にそれを実演奏に生かすことが出来ているかどうか」を、あなた自身が「厳しい目をもって確認」するようにして下さい。

 私達が独自のノウハウを公開することで「ニセK's奏法」が蔓延し、それが元でアマチュアドラマーさん達のマイナスになってしまうようであれば、今後のドラミングアドバイスの制作と公開は、悲しいことですが「中止」にしなくてはなりません。今後、K's MUSICがドラミングアドバイスを続けていけるかどうかは、全国のアマチュアドラマーさん達の意識次第です!